【鉄スクラップ関連用語解説】 

(2009年7月21日作成)

 

ARTグループ   ASR(自動車破砕残さ)リサイクル促進の為に結成された二つのチームのうちの一つ。「自動車リサイクル法」により、自動車メーカーでの引取り、リサイクルが義務付けられた特定再資源化物品のうち、ASRのリサイクルを効率的に実施する為に自動車メーカー12社により結成された。(いすゞ自動車、クライスラー日本、スズキ、日産自動車、日産ディーゼル工業、ピー・エー・ジー・インポート、フォードジャパン、富士重工業、マツダ、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、メルセデス・ベンツ日本)
*ART=Automobile Shredder residue Recycling promotion Team)

ASR   Automobile Shredder Residueの頭文字で、自動車系シュレッダーダスト(自動車破砕残さ)をいう。

A材   シュレッダー材料のうち廃車ガラのみを指していう。ちなみにC材は空き缶スクラップで、B材は家電品、ブリキのスクラップを言う。

C材   食缶又は飲料缶。飲料缶のみの場合はグレードが上がる。

ELV   End of Life Vehicleの頭文字で、使用済み自動車をいう。

SR   Shredder Residueの頭文字で、シュレッダーダストをいう。

THチーム   ARTグループとは別のグループ。ASRリサイクルの効率的な実施の為に自動車メーカー8社により結成されたチーム。(ダイハツ工業梶Aトヨタ自動車梶A日野自動車梶A本田技研工業梶Aアウディジャパン梶Aビー・エム・ダブリュー梶Aプジョー・ジャポン梶Aフォルクスワーゲングループジャパン梶j

アミ甲山   鉄板からワッシャーやナットを打ち抜いた網状のもの

色物   一般には、特殊塗料等を施した鉄板類を指すが、関西ではひかり物(非鉄金属スクラップ)を指す。

ウス物   ブリキ、トタン類や金網、鉄柵類のスクラップ。

鬼ダライ   大型の工作機械で深く削られ、肉の厚いダライ粉を鬼ダライ粉と称する。ダライ粉としては上質である。(ダライ粉の語源:オランダ語で旋盤のことをダライという。)

帯鉄   鋼材や鋼板の梱包用に使用された薄く、細長い形態の鉄スクラップ。

加工スクラップ   製造業の生産段階で発生する鉄スクラップで、切り板、切り屑、打ち抜き屑に代表される。
5年に一度日本鉄源協会が実施する「加工スクラップ発生実態調査」による部門別出荷率を用いて部門別に推計して把握する方法と、同協会がおこなっている「鉄源流通実態調査」における新断、鋼ダライ、銑スクラップの流通量をいう。

可鍛コロ   関西用語で配合甲山と同格のものを可鍛コロという。コロは小さいという意味で転がるという意味ではない。関東では単にコロともいうが配合甲山の上質のものを称しているようである。

家電4品リサイクル法   一般家庭や事業所などから排出された家電製品(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機)から、再利用できる部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効活用を推進するための法律。(正式名称「特定家庭用機器再商品化法」 平成13年4月1日施行)

ガラ   自動車の車体や薄鉄板でできたもの。中部地方ではウス、関西ではドンガラあるいはガサ鉄ともいう。


還元鉄   鉄鉱石をペレット状、塊鉱状又は粉鉱状で、天然ガス、石油ガスあるいは石炭等で直接還元した鉄を言う。
*DRI=Direct Reduced Iron(還元炉からで出て来たままの還元鉄のこと。)
*HBI=Hot Briquette Iron(DRIを圧縮してブリケットに固めたもの。)

管理型処分   廃棄物の最終(埋め立て)処分形態のうちの一つ。廃棄物の有害度の大きさによって安定型、管理型、遮断型の3形態が決められている。
平成6年9月26日、厚生省はシュレッダーダストの処分方法について、これまでの安定型処分から管理型処分に移行することを決め、平成8年4月1日から完全実施に踏み切った。この管理型処分場が全国的に少ないことから業界の大きな混乱が起こった。ダストに含まれる鉛等重金属による水質汚染が原因であるが、塗料を含むギロチンダストについても同様な措置が採られ、鉄スクラップ業界は環境汚染の解決に大きな責任を負うことになった。

希少金属   レアメタルともいう。地球上のその存在が稀であるか、またはその抽出が経済的・物質的に非常に困難な金属を総称する。現在31種が指定され、うち7種類(ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム)が国家備蓄対象となっている。このレアメタルはステンレスなどの基礎素材産業からハイテク分野の産業にいたるまで幅広く利用されている。鉄スクラップにも混在している場合があり、そのリサイクル促進が課題となっている。

逆有償   鉄スクラップ価格の下落により、その鉄スクラップを処理する費用(処理コスト)が鉄スクラップ価格を上回る時に、その鉄スクラップを持ち込む人からその処理代金を徴収することをいう。

甲山(鉱山、鉄山)   鉄鉱石が普通鉱山から採掘されるのに対して、生産工場又は消費地で発生する鉄スクラップを鉄源の「山」とみなして、その意味から語源的に発生したといわれている。本来はあらゆる種類の鉄スクラップが含まれていたわけだが、現在使われている甲山とはさらに狭義の意味で一級品以上の鉄スクラップを指す。

鋼流れ   製鋼時に溶出するノロのうち鉄分の多いものをいい、そのうちの形の小さいものを小流れと呼んでいる。

故銑、鋳物スクラップ   ズク又はふるズクともいう。銑鉄、鋳物製品、例えばロール、鋳型、各種機械類の老朽化したものを指す。

コラムスクラップ  橋梁や大型建屋の解体によって生じる、四角型骨材のスクラップ。

コンポジット   USAにおける鉄スクラップの価格の平均値を表すもので、シカゴ、ピッツバーグ、フィラデルフィア3地域の平均炉前価格。

自家発生くず   鉄鋼工場で発生する歩留まり落ちの鉄スクラップ。ホットコイルの先端(舌)、両端(耳)、鉄筋棒鋼の先端などに代表される。圧延⇒冷延⇒めっきなど工程の長い工場では発生率が高い。通常再び自工場で溶解に戻して使用するので、リターンスクラップとも呼ばれる。

市中くず   国内で発生する鉄スクラップ。製造業で発生する加工スクラップと鋼構造物が老朽化して発生する老廃スクラップに分けられる。自家発生くずは含まない。

自動車リサイクル法   使用済自動車(廃車)から出る有用資源をリサイクルして、環境問題への対応を図るために平成17年1月から施行された法律。(正式名称「使用済自動車の再資源化等に関する法律」)この法律で、自動車製造者等(自動車メーカー、輸入業者)により危険物であるエアコンのフロン、エアバック、処理難物であるシュレッダーダストの処理が義務付けられた。

シャー材   シャーリングに掛けるための材料をいう。

シャーリング   鋼板を規定の寸法に裁断すること。

ジャミ銑   関西用語で、主として鋳物の製造時に砂の上に落ちて小さく固まったものや故銑を割ったときに小さくなったものを指す。

ジャミ鉄   製鋼時にジャミ銑と同じように小さく固まってできる鉄分の多いものを指す。鋼流れと似ているが多少違う。これも関西で使われている用語である。

新断プレス及び新断バラ   薄板の加工生産工場で発生する薄板の端板及び打ち抜きのスクラップをプレスしたものをいう。新断プレスは酸化もなく品質も良いことから、需要家から評価を受けている。プレスしないものを新断バラという。表面処理をしていないもの(新断プレスA)としたもの(新断プレスB)とに分かれる。

伸鉄材   再生用丸棒等に使用される原料で、厚みが最低9mm以上、長さ1.5m位、幅15〜20cm位の普通鋼をいう。日本では中四国地域で若干の需要がある。現在では韓国、台湾等への輸出向けが多い。

すき割   故銑の大きなものにドリルで穴を開け、タガネを打ち込んで割る行為をいう。

スケール   鉄をある温度に熱して圧延すると表面が酸化して薄く剥離する。この剥離した小片をスケールといい、主として高炉又は合金鉄生産等に用いられる。

すそ物   甲山に対する意味として級外(時には二級品も含まれる)の下級スクラップに用い、ブリキ又はトタン板等が主なものである。

千地   ブリキ、亜鉛鉄板等の薄鋼板のスクラップを称し、普通はプレス加工を行う。鋼スクラップのうち最下級に当たるものである。地名の千住(東京)からまた千種(せんしゅ)雑多なものという意味から出たという意見もある。

銑ダライ   銑鉄を切削、旋削したスクラップをいう。酸化の少ない銑ダライAと多少酸化した銑ダライBに分かれる。

全部利用   全部再資源化認定(法第31条認定)による使用済み自動車リサイクル方法の一つ。部品などを抽出した解体ガラをサイコロ状にプレスして鉄鋼メーカーに原料として投入される。銅成分規定がある。

台貫(だいかん)   坂の上で車を量る意味からきている。いわゆるトラックスケールで計量器のことをいう。

ダスト   スクラップの加工処理過程で生じる鉄、非鉄以外の非金属類でギロチンによる加工処理過程で出るギロチンダストとシュレッダーによる加工処理過程で出るシュレッダーダストが主なものである。

ダライ粉(鋼ダライともいう)   旋盤のような機械で切削、旋削したスクラップをダライ粉という。チップ状のもの(鋼ダライA)とパーマ状のもの(鋼ダライB)とに分かれる。

炭素鋼スクラップ   普通鋼鋼材がスクラップしたもの。

地域別鉄鋼蓄積量   鉄鋼蓄積量を国内9地域別に分割推計したもの。県民所得統計のうち固定資本形成データを使用して推計している(日本鉄源協会)。

坪上げ   発生元から直接買い上げる行為をいう。狭い町工場等(坪)から買い上げるということから出た言葉という説もある。

鉄源流通量調査   日本鉄源協会が、所属する鉄鋼メーカーに対して鉄スクラップ品目別、地域別に購入量を四半期別に調査したもの。鉄鋼メーカーに対するカバー率はほぼ100%。実際の鉄スクラップ流通量をスクラップ品目別に表す唯一の統計であり、平成元年より行われている。

鉄鋼循環図   国内における鉄鋼循環をサークル状にあらわしたもの。鉄鉱石原料投入後、銑鉄が生産されて転炉法により鋼材となる。また、鉄スクラップが投入され電炉法により鋼材となる。これらは社会に出荷されたあと、製品となり、やがてくず化する。その年の鉄の全体循環をあらわしたものである(日本鉄源協会)。

鉄鋼蓄積量   きめられた地域内に存在する使用中の鉄鋼製品を含んだ鋼製の構造物の全てを鉄に換算した総量。年間蓄積増分は、その年に新たに増加した蓄積量をいい、生産+輸入(直接輸入+間接輸入)−輸出(直接輸出+間接輸出)−鉄スクラップ消費量より求める。累計鉄鋼蓄積量はある時点までに累計された蓄積量をいう。06年度のわが国の蓄積増分は1,160万t、累計鉄鋼蓄積量は13億390万tである(日本鉄源協会)。

トランプエレメント(Tramp element)   スクラップを再生利用して鋼を製造する場合に分離できず、有害かつ除去困難な不純成分のことを言う。部品の小型化や非金属材料の使用比率増大などにより鋼材品質の低下をきたす問題として認識されている。

ならし(鍋銑、焼銑ともいう)   鋳物スクラップのうち直接熱を受ける釜鍋、ストーブ等は、その表面から脱炭されるので、炭素分の少ないものとなっている。このような鉄スクラップを「ならし」という。

西送り   日本国内の地域別鉄スクラップ需給の偏りから、国内スクラップは地域間でも大量に移動/流通するが、その流れは鉄スクラップ余剰地域の関東以北から不足地域の関西・中四国・九州間の‘西向き’が主だったため、その動きを西送りと称した。この西送りの動きはその後発展・拡大して現在の大量輸出時代につながっている。西送りはバブル期に月10万tを記録したが、その後輸出が定着するなどで、現状は7〜8万tで推移している。

ノロ   鋼滓(こうさい)、スラグともいう。製鋼炉で鋼を溶製する時、鋼溶の表面に生成される金属あるいは非金属の酸化物からなる多成分系の物質。

パーマ   螺旋状に旋削された肉の薄いダライ粉をパーマという。普通ダライ粉の分類に入る。統一規格では鋼ダライA。

配合甲山   単に配合ともいい、主としてシャーリング工場から切断、打ち抜きによって発生する炭素分、クローム分の含有量の少ない3mm以上の軟鋼スクラップで可鍛鋳鉄向けの原料となるものをいう。加工スクラップに類する。

箱車または単車   過積載規制の強化により、鉄スクラップの輸送単位が従来の10トン車からトレーラーへと代わり、10トン車を其の姿から箱車または単車と呼ぶ。

バッカン(抜缶)   主に関西地区で使用される用語で、そのままトラックで運搬できるようにスクラップを集積しておく鉄製の箱をいう。

番線   ケーブルや柵等に用いられた鋼線。

光物(ひかりもの)   非鉄金属の銅、真鍮、鉛、亜鉛等をいう。

ブリキ電解用及び電解スクラップ   ブリキ板に含まれる錫を電気分解で取るためのスクラップで、錫を分離した後の鉄分は純度の高い鉄スクラップとして売れる。これを電解スクラップという。

ポンチ   鉄材を打ち抜いたものをいう。主に鋳物用に使われる。

マニフェストシステム   産業廃棄物の発生元、輸送、中間処理、最終処分までの経路を詳しく記帳、保管し、産業廃棄物の適正処理を確保するシステムをいう。

丸車   自動車そのままの原型を留めたもの(タイヤやガラスが付いたままのもの)をいう。

メカス   小さな鉄片をいう。

モーブロ   自動車のモーターブロック(エンジン)のことをいう。

門挙   故銑を割る玉のことをいう。

ヤード   鉄スクラップの置き場を総称していう。

ヤード業者   鉄スクラップの置き場を持っている業者。

リフマグ   リフティングマグネットの略で、天井クレーンに付いている磁石のこと。

冷材   高炉メーカーでの鉄スクラップの呼称。

老廃スクラップ   鋼構造物が老朽化して発生したスクラップ。加工スクラップがフローから発生したスクラップであるのに対して、老廃スクラップはストックから発生するスクラップである。この推計は経済産業省調査統計部が公表する「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計」における国内購入量から、推計した加工スクラップを除いて求める。但し、国内購入量には高炉メーカーから系列電炉メーカーへ出荷した分譲スクラップを含むため調整している。また、これとは別に社会に投入した鋼材が、いつかはくず化するという考えに基づき、部門別に国内残留鋼材をもとめ、耐用年数計算などにより老廃スクラップ発生量を推計している。この推計結果はポテンシャル(発生可能量)を表すことになる(日本鉄源協会)。

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